「えー、やっぱり顔かなー?背も高いし」

異口同音に、そんな答えしか返ってこなかったことに、またしても失望した。

もう、なるべく異性との関わりを持ちたくなくなり、高校は男子校に進学。

そして、これまで以上に絵画の世界に没入し、それ以来、有難いことに受賞歴を更新し続け、大学在学中から、絵は高く売れるように。

しかし、取材の際も、顔出しはNGで通してきた。

「顔出ししたら、更に人気が出るでしょうに」

そう唆す人も多かったが、もう、そういうのは嫌だったのだ。

男の子は母親に似るなどとよく言うが、どんなに嫌でも、僕の顔は母をそのまま男にしたようなもの。

そんな、アンチルッキズムの僕なのに、どうやら海香子ちゃんには一目惚れしてしまったらしい。

勿論、愛らしい顔立ちのみではなく、彼女の持つ優しさ、純粋さ、繊細さ、そして内側に秘めた芯の強さ⋯⋯そういったものを感じたからだと思うが。