それなのに、清海さんが、彼にとってはお子ちゃまでしかない私の生理用品ごときで焦るとは思わなかった。

清海さんが東京で、どんな部屋に住んでいたかは知らないが、恐らくそこには彼女の私物があれこれ置いてあっただろう。

その中には、生理用品どころか、下着だってあっただろうし、もしかしたら、避妊具だって⋯⋯。

あれ⋯⋯何故だろう?

そんな部屋を想像すると、雨雲のような重苦しい気持ちになる。

私⋯⋯単なる自分の妄想でしかない、清海さんの過去の彼女に嫉妬しているのだろうか。

「海香子ちゃん?どうした?」

いけない。公私混同気味とはいえ、今は仕事中なのだ。

「ううん!ごめんなさい。清海さんが絵に集中するために雇ってもらったのに、邪魔ばかりしてるよね、私⋯⋯」

「いや、それは単なる口実だから別に⋯⋯」

「え?」

単なる口実とは何のことだろう?

時折、よく分からないことを仰る芸術家だ。