「ううん！確かに、絵のイメージとは違うけれど⋯⋯私は、清海さんが優しいお兄さんでよかった」

「僕は別に優しくないよ。付き合いもよくないしね」

「そうなの？」

「うん。もし、優しいと感じてくれているとしたら⋯⋯それは海香子ちゃんのせいかな」

「どういうこと？」

「なんていうか⋯⋯海香子ちゃんを初めて見たとき、不思議と癒やされたんだ。無邪気で可愛くて、人魚姫ってこんな感じなのかな？と思った。人って、癒やされると自然に優しくなれるからね」

「人魚姫ねぇ⋯⋯私は、恋のために死ねるほど、情熱も純粋さもないけどなぁ」

「あはは、恋で身を滅ぼすより、穏やかな愛情で幸せになったほうがいいじゃない？」

恋で身を滅ぼすより、穏やかな愛情で幸せに⋯⋯か。

清海さんは、かつて、身を滅ぼしそうな恋をしたり、今は穏やかな愛情を求めているのだろうか？などと、つい考えてしまう。