気を遣ってくれているのは、清海さんのほうだ。

「そうだ。これは仕事じゃないし、嫌なら拒否してくれて構わないんだけど⋯⋯」

「何?」

「二世帯住宅とはいえ、せっかくひとつ屋根の下なんだし、一緒に御飯食べない?」

「うん!」

「この辺りは洒落たレストランもないから、家で焼肉にしようか。新たな門出を祝って」

「わぁ、嬉しい!焼肉大好き!」


私たちは、車でスーパーまで買い出しに出掛けた。

店内をまわっているときに、ふと、なんだか新婚さんみたい⋯⋯と思い、一人で勝手に照れてしまう。

「どうしたの?」

「ううん!なんでもない」

清海さんに、変なことを考える子だと思われても嫌だ。

それにしても⋯⋯清海さんは、次から次へと、肉、野菜、海鮮をカゴに放り込む。

芸術家というと、なんとなく食が細いイメージだったのだが。

「清海さん、こんなに食べ切れる⋯⋯?」