1時間もせずに、目的地に到着した。

「ここだよ、海香子ちゃんの寮」

「え⋯⋯?」

寮と聞いていたので、てっきりアパートの一室かと思いきや、やや大きめの一軒家だ。

「2階が海香子ちゃんの寮。1階が僕のアトリエ兼住まいね」

「ちょ、ちょっと待って!これは、同居ってことになるの!?」

私が慌てていると、清海さんは可笑しそうに、

「心配しなくても、1階と2階とでは、玄関も、水回りも、郵便受けも、完全に別々だよ。元々、ここは二世帯住宅だったけど、売りに出されてたんだ」

「なるほど⋯⋯」

「嫁姑の同居がうまくいかなくて、離婚してすぐ、家も売ったのかもね」

ふと、昔のドラマの再放送で、二世帯住宅で嫁姑バトルを繰り広げるコメディを見たのを思い出した。

しかし、まだ割と新しくて広い二世帯住宅をポンと買ってしまうとは、かなりの財力だ⋯⋯。

2階に荷物を運ぶのを手伝ってくれる清海さん。