「そこで本題なんだけど。海香子ちゃん、ウォーミングアップに、僕のアシスタントとして働いてみない?」

「アシスタント?」

「難しい仕事じゃないよ。僕が絵を描くことに集中したい時、事務的なことや雑用とか。ここから通うには少し遠いから、寮も用意してあるんだ」

「著名な先生のアシスタントなんて、私に勤まりますかね⋯⋯?」

「前から、アシスタントが居たらいいなとは思ってたけど、適任の人が居なくてね。海香子ちゃんと話してみて、是非お願いしたいって、初めて思ったんだよ」

かなり魅力的な話だとは思うが、優柔不断な私には、即決出来ない。

「返事は急がないよ。海香子ちゃんの決心さえ固まったら、親御さんにも、ちゃんとご挨拶したいし」

「わかりました。少し考えて、なるべく早く返事をしますね」

「うん。海香子ちゃんにとって、無理のない社会復帰の一助となればいいなと思ってる」