過つは彼の性、許すは我の心 参



 そして笑顔になりながら「…痴女なんて酷い言い方してすみません先輩」と急に謝った。


「…漸く分かった?凌久は私が好きなんだから、」


 何故?と思う暇も無く、女が勝鬨を上げる様に言葉を重ねようとした瞬間、


「先輩ありがとうございます!これ私が先に(・・)凌久君から貰ったんですけど無くしちゃって…凌久君に何て謝ればいいのか悩んでいた所なんです!それに気付いて先輩貰ったって言う事にしてくれたんですよね?流石先輩!でもそれだと先輩が窃盗したって事になっちゃうんで、私からちゃんと凌久君に謝りますね!」


 唐堂綴はマシンガンの様に話した後に、くるりと俺に向き直って「ごめんね凌久君。折角私にくれたのに無くしちゃって…今度からは無くさない様に気をつけるね」と言い切った。


「え、あ、」

「無くさない様にポケットに仕舞っておこう」


 あまりの宣いに唖然とした女は、自分のポケットに仕舞う唐堂綴を見て慌てて動き出した。


「ちょっとそれは!」

「おいなんやアンタ。もう解決、これで終わりやろう」


 取り返そうとするが、渚と呼ばれた男が彼女との間に入った。


「違うわよそれは私が凌久から貰ったのよ!それを勝手に!」

「…俺はコイツがつづちゃんにあげている所を見た」

「はあ?初対面って、」

「けったくそ悪いから忘れとった」

「ふざけん、」


 その時、鳥肌が立った。


「ーーーええ加減にしろや、アンタ」