そして笑顔になりながら「…痴女なんて酷い言い方してすみません先輩」と急に謝った。
「…漸く分かった?凌久は私が好きなんだから、」
何故?と思う暇も無く、女が勝鬨を上げる様に言葉を重ねようとした瞬間、
「先輩ありがとうございます!これ私が先に凌久君から貰ったんですけど無くしちゃって…凌久君に何て謝ればいいのか悩んでいた所なんです!それに気付いて先輩貰ったって言う事にしてくれたんですよね?流石先輩!でもそれだと先輩が窃盗したって事になっちゃうんで、私からちゃんと凌久君に謝りますね!」
唐堂綴はマシンガンの様に話した後に、くるりと俺に向き直って「ごめんね凌久君。折角私にくれたのに無くしちゃって…今度からは無くさない様に気をつけるね」と言い切った。
「え、あ、」
「無くさない様にポケットに仕舞っておこう」
あまりの宣いに唖然とした女は、自分のポケットに仕舞う唐堂綴を見て慌てて動き出した。
「ちょっとそれは!」
「おいなんやアンタ。もう解決、これで終わりやろう」
取り返そうとするが、渚と呼ばれた男が彼女との間に入った。
「違うわよそれは私が凌久から貰ったのよ!それを勝手に!」
「…俺はコイツがつづちゃんにあげている所を見た」
「はあ?初対面って、」
「けったくそ悪いから忘れとった」
「ふざけん、」
その時、鳥肌が立った。
「ーーーええ加減にしろや、アンタ」



