それでも女に怒るのは俺のキャラじゃない。
女を可愛がって、どんな女の理不尽な要求も黙って飲み込む。
『最近あの人とずっとシていないの…ねえいいでしょう』
『彼氏が構ってくれないの酷いでしょう!寂しいの…!明日私は休みだから、凌久は学校休んで一緒に居てくれるよね?』
『凌久の事話したら皆んな凌久と仲良くなりたいって…凌久は私のお願い聞いてくれるよね優しいから』
それが求められる土師凌久なんだから「そうそう可愛いさかい思わずあげてもうたは〜」と言えばいい。
なのに、
「そう…いや…」
不測の事態に動揺して表面を取り繕うのに精一杯だった。
こんなの女のお願いの中じゃマシな方なのに、さっきも運命だと割り切ろうとしたのに、何で。
「あ、凌久君!」
人混みの中から手を振る唐堂綴に思考が途切れ、気付いたら集団のど真ん中まで来ていた。
「見てよ渚君!凌久君紫似合うでしょう?」
「ああ?」
そして彼女の隣に居る見た事のない、図体のデカい男が俺を胡乱気な目で見てくる。
そして、
「こらほんまもん紫ちゃう」
ふてぶてしく言い放った。
「えー!前にパープルブラックって言ってたやつだよね?じゃあパープルって紫って事だよね」
「ああ…まあ」
て言うか此処に首突っ込んで来るの凄いなコイツら。
「俺はコイツ自身好けへん」
「渚君初対面!言い方!」



