過つは彼の性、許すは我の心 参

 

 それでも女に怒るのは俺のキャラじゃない。

 女を可愛がって、どんな女の理不尽な要求も黙って飲み込む。


『最近あの人とずっとシていないの…ねえいいでしょう』

『彼氏が構ってくれないの酷いでしょう!寂しいの…!明日私は休みだから、凌久は学校休んで一緒に居てくれるよね?』

『凌久の事話したら皆んな凌久と仲良くなりたいって…凌久は私のお願い聞いてくれるよね優しいから』


 それが求められる土師凌久なんだから「そうそう可愛いさかい思わずあげてもうたは〜」と言えばいい。

 なのに、


「そう…いや…」

 
 不測の事態に動揺して表面を取り繕うのに精一杯だった。

 こんなの女のお願いの中じゃマシな方なのに、さっきも運命だと割り切ろうとしたのに、何で。
 

「あ、凌久君!」


 人混みの中から手を振る唐堂綴に思考が途切れ、気付いたら集団のど真ん中まで来ていた。

 
「見てよ渚君!凌久君紫似合うでしょう?」

「ああ?」


 そして彼女の隣に居る見た事のない、図体のデカい男が俺を胡乱気な目で見てくる。

 そして、


「こらほんまもん紫ちゃう」


 ふてぶてしく言い放った。


「えー!前にパープルブラックって言ってたやつだよね?じゃあパープルって紫って事だよね」

「ああ…まあ」


 て言うか此処に首突っ込んで来るの凄いなコイツら。


「俺はコイツ自身好けへん」

「渚君初対面!言い方!」