彼女の親切心を利用する様な気がして、したくなかった。
「(罰…か)」
他人を傷つければ、罰が降る。当たり前の事。身近に罰せられない奴が居たせいで倫理観もブレてしまったのか俺は。
「どうしたの凌久?」
「いや…」
女が腕を絡めて来て、笑って流す。
この前一緒に生徒会室に居た女は「もうぼーっとして!」と頬を膨らませる。
そこに、
「あーまた凌久別の女と居る〜」
「凌久私とはいつ遊んでくれるのお?」
「ちょっと!ベタベタしないで!凌久は今私と居るの!」
時々遊んでいる男女混合(女割合が高い)グループに合流して、廊下で少し大きな団体となった。
反対側の腕に女が絡み付き、
「最近凌久に相手して貰っているからって調子乗り過ぎじゃない?」
元々くっ付いた女に噛みつき始めた。
「そうそう!凌久の厚意に甘え過ぎ!」
あーあどうしたもんか。
「おいやめてやれって凌久困ってんぞ」
「モテる男は辛いねえー」
「えーそないな事言わんといてくれや」
「少しは困れイケメン」
「えーそないな事言わんといてくれや」
ペラペラお得意の軽薄な言葉で助ける気も無い男達と会話しながらも、イヤリングの事で頭が一杯だった。ただ反面、潮時だったのかもしれないとも思っていた。
“そろそろ母親の呪縛から逃れろ”



