あの時の…。

 哀れな母親を救う事が出来なかった俺が唯一履行出来る約束をしたあの日。


『貴方はーーー人を愛さないで』


 だから俺は、俺には。


『貴方は、よく覚えているでしょう。お母上がミケになられて幸福だったか』


「おやすみ、獅帥君」


 ミケなんて要らない。


『何でって?貴方達が人を愛すると人が不幸になるからよ!』

『彼女を傍に置くなら勘違いする方々もいましょう。だからリタを代わりに据えて頂きたいのです。シンカンがミケとなった事例もあります。大事な彼女を守る為にも』


ーーーお前らも全員   なればいい。


 彼女の暖かな声と共に、眠りへと誘われた。