過つは彼の性、許すは我の心 参



 此処に来て土師利大の眉がピクリと不快そうに動いた。

 けれど、


『あの女。地味そうに見えて結構遊んでいるんですよ?聞いたな事ないんですか?』


 直ぐに気を取り直してと苛立たしい口調で俺に問う。

 不快ではあったが…疑問が湧いた。


『何で獅帥さんもあんな女の、』

『ーーー何でそこまでお前は綴に執着する?』


 女の眉がまたピクリと動いた。


『…執着?何言っているんですか?それは獅帥さんの方じゃないんですか?何が良くてあんな女…』

 
 更に眉間に皺が寄った。

 そう言えばコイツの姉と俺は似ていると言っていた。

 さっきこの女が反応していたのはーーー…。


『もし綴が地味でも遊んでいても俺は別に気にしない。それに、』


 お前に何の関係がある?

 そう言った途端、カッと目を見開く土師利大。

 憎しみに溢れていて、握る手は爪が長ければ抉る程込められている。

 ああ…なるほど。


『同一視か』

『っ…』

『お前も可愛い所があるんだな。姉が恋しくて堪らないのか…は』


 俺が小さく嘲笑付け加えれば、


『何を言って!』


 取り繕う気もないらしく、激昂した土師利大が立ち上がる。


『…』


 俺は足を組んでその怒りに支配された土師利大を見上げた。

 土師利大は怯えた様に震えて…ソファーに腰を下ろした。


『どうした続ければいい』

『…』