過つは彼の性、許すは我の心 参



『さんではなく、獅帥様だろう』

『えー?こっちの方が親しみやすいと思ったんだけど』


 父親の諫言もどこ吹く風。


『でもこんな格好初めてだから新鮮』


 明るかった髪を黒く染め直し、服は丈の長いパステルカラーのワンピースを着用。清楚な令嬢を彷彿とさせるその姿は、きっと何も知らない男達が見たら目を惹く美しさだった。(中身はまだ追いついていなさそうだが)


『ありがとうございます!獅帥さん』


 強引さは父親似らしい。

 やれやれとする土師保宇の隣に『お父様が早く呼んでくれなかったから、忘れられたかと思っちゃった』と言いながら、勢い良く座る土師利大。


『何を言っている?可愛いお前を忘れるなんて、そんな事ある訳ないだろう』

『もう本当に?』

『分かった分かった好きな物を後で買って上げよう』

『やったー!』


 白々しい。

 こんな物に付き合わされるとは。


『…話は本当にないようだな』

『ああお待ち下さい獅帥様』


 またもや止められて流石に堪忍袋の尾が切れそうになったが。


『ーーー獅帥様。念の為に確認ですが、唐堂綴は貴方の妹のミケであって、貴方のモノではないのですよね?』


 言われた意味を正確に捉える事が出来ず固まった。


『お前に、関係あるのか』

『ええ!勿論ですとも!』