妃帥を暗に見下されるのは久々だった。
彼女が常々妃帥ちゃん可愛い綺麗頭良い!と褒め続けていたので、忘れてしまっていたが…やはり苛つくものは苛つく。
本来ならオオミカの権限でコイツを追い払いたい所だが、追い払えない。
『お身体には十分ご自愛下さいね。何せ双子ですから体質や疾患が似ていても不思議ではないので…少し前も肺を悪くしたとか。いやはやこの国でも最高峰の医療技術を提供している私達の病院で処置しなければどうなっていたか』
『…口が軽い医者がいるらしいな』
『いいえ!とんでもない!私も打一線を退いても医者ですから、一目見れば病を患っているか分かりますよ』
脅しだ。
可愛い妹の命は自分の手の中だと。
愉悦感に染まっているその皺の多い表情と、ねっとりとした視線。態とらしい男の言い方。身体中に纏わりついて地獄にでも引き摺り落とそうと言わんばかりだった。
『話はそれだけか?なら失礼する』
不快な男と関わるぐらいなら、今頃甥っ子と姉と共に過ごす彼女の傍にいたい。
立ちあがろうとしたら『獅帥様、お待ちを』と引き留められた。
『…』
『入りなさい』
現れたのは、
『獅帥さんこんにちは!』
男の娘であり、俺のシンカンとなった女リタ。
ベビードールの服を着た時とは打って変わっていた。



