そして、


「綴、貴方知り合いなんでしょう。だったら少し諌めたりは出来ないの?」


 と至極当たり前の事を言われた。

 でも。


「…私の言う事なんて、死んでも聞かないと思うよ」

「だろうなあ」


 凌久君がうんうん頷きながら欠伸をかく。

 そうか、凌久君は土師だ。


「凌久君にも迷惑掛けているよね。本当ごめんな、」

「つーづ。俺とつづの仲」

「いやでも」

「男は、自分が可愛い思てる女の子に迷惑掛けられたいもんなんやで、なあ獅帥」


 くるりと背を向けていた獅帥君が振り返る。


「獅帥君」

「…」


 少しだけアンニュイな雰囲気を纏った獅帥君は美しさには変わりないが、やっぱりちょっと疲れた顔していて、罪悪感が心に蓄積する。

 しかも凌久君への問いには答えず、何処か探る様な視線に不安が煽られた。


「おい獅帥どうした?」


 鉄将君の呼び掛けにも答えない。


「綴は、」

「え?」


 私の名前を呼んで、言葉を止めてしまう。

 前のゆっくりカメラマン(以前私が勝手に命名した獅帥君の話し方)の様な感じでも無く、何て言ったらいいのか。

 もしかしてリタの攻撃に精神以外にも身体的にも何処か悪く?

 私はパッと手を出して、獅帥君のおでこに手を当てた。


「…どうしたんだ綴?」

「いや熱でもあるのかと」


 うーん熱は無さそうだ。