一葉師匠の熱い指導(私に知識がなさ過ぎて初心者講座みたいになりながら)を受けていれば、使用人と共に帰って来たリヒト君が訪れて一先ず一旦終了となった。

 リヒト君と手を繋ぎながら妃帥ちゃんのお部屋へと戻った私は、リヒト君におねだりされて、その日の夜は輝咲ちゃんとリヒト君と川の字になりながら寝てた。久々に2人と話が出来て、波乱はあったものの心が満たされた気がした。

 しかし私は、波乱の意味を理解していなかった。


「…」

「…」


 清維の目が痛かった。

 クラス中が騒ついている。


「アレ見たか?」

「天條がなあ…」

「今日は女も男も泣く日になるな」


 私はその原因を引き入れてしまい、恋する乙女の清維は暴発寸前だった。


「つづのせいとちがうし、しゃあないやろう」


 何故か別クラスの凌久君がいて、獅帥君の席に座って頬杖をついている。呆れ顔で清維を見ているが、清維が怒るのも無理はない。いっその事罵ってくれた方がマシだった。


「…分かっているわ、でも綴のお願いを聞いた為に獅帥に害が出てないって言えるのかしら」

「申し訳ありません…」


 言葉にすら棘を持たせる清維に、只管謝り続けるしか出来ない私は項垂れるしかない。

 その時教室の扉が開き、獅帥君達は現れた。