見上げれば、皮肉気に笑うカズミさんがいて。


「宿題な」

「へ?」

「分かるまでは、お前が此処を管理しろ」

「へ?」

「どうせまだ遊びに来るんだろう。なら遊びに来た時でいい。返事は?」

「へ、あはい…」


 間抜けな私の返答に喉奥で小さく笑ったカズミさんは、またクローバーの所に歩いて行く。

 投げ掛けるだけ投げて話を切り上げてしまったカズミさん。


…仕方ない。


 今考えても分からないから後々…と思いながら、そっとカズミさんの背後からプランターを覗く。

 クローバーをよく見たら一葉、双葉、三葉、四葉と葉の枚数がそれぞれ違うのが植えられていた。


 そうだ。


「そう言えばあっちの建物の方にもあったけど、カズミさんが?」

「ああ…」

「私クローバーの一葉、好きなんだよね」


 世間話をする様に話したら、驚いた様にカズミさんが振り返る。


「一葉を?何でだ?」


 其処まで食い付くと思わず「いや花言葉がいいなあと思って…」と言うしかない私。本当に花言葉素敵ぐらいの理由で好きなだけですはい。


「…」

「…」


 ジッと見られて気不味い。

 わ、話題転換だ。


「て言うかカズミさん。此処管理しろって言われても、園芸知識ないんだけど私」


 そうだよ、お隣の大きな植物園と比べたら規模は小さいけれど、綺麗に整えられているのは素人目でも分かる。