ハハっと乾いた笑いを添えるカズミさんは、更に言葉を続けた。
「その時、獅帥達の母親はイカれちまって海外に住んでいる親戚に引き取られて、」
その言葉に、
『何でアンタがそんな事言い切れるんだ!獅帥は母親が狂って実家に戻されて2度と会えないって言われても顔色1つ変えなかったんだぞ!』
火ノ宮君の言葉を思い出した。
「獅帥達の親父さんも重症で喋れる状況じゃなかったし、八重さんは姿を消したから守ってくれる人間なんていなかった」
「じゅ、重症?行方不明?」
もう何が何だかサッパリだったが、待て待て落ち着いて整理しよう。
カズミさんのお父さんは庭師で、この植物園擬きの場所繋がりで八重さんと仲が良くって、その子供であるカズミさんもよく話す仲だった。
しかしカズミさんのお母さんが何某をして、カズミさんのお父さんは責任を取る形でお母さんを道連れに死去。
一家心中。
『いいんだ。心配してくれてんのは分かってるよ。言ったろ綴ぐらいしか心配しないから、有難いんだ』
ナオ…。
いやいや駄目だ今感傷に浸っている場合じゃない。
そもそもカズミさんのお父さんは何の責任を取ったんだ。
其処が分からないと匡獅さんが重症で、八重さんが姿を消した理由も分からない。
「意味が分からないだろ」
考え込んでいたら、頭上からカズミさんの声が掛かる。



