オオミカとして産まれると血筋故か、全てにおいて優れている上に、自然と他者に言う事を聞かせてしまうカリスマ性や、何より関わる人々に 不自然な程の幸福を齎す。
祝福とも言われるそれは周囲が気を使った結果なのか、それとも超常的な何かが本当に働くのか、特にオオミカに目を掛けられた者は特にだ。
だからこそ、オオミカのご機嫌を損なわない様に周囲は必死になるし、どうにかオオミカの親戚関係になろうとあの手この手を使う。ただ、オオミカの相手に選ばれて縦しんば子供を孕んでも、匡獅の言った通り必ずオオミカになる訳ではない。
分かるのだ。
オオミカは一目見て存在感が違う。
そして何より産まれた時点で、周囲に 不自然な程の幸福が訪れるのだ。
昔はそのせいで期待して産まれた子供がオオミカではないと知ったミケが、その子供をーーーなんて恐ろしい事が起きていたと聞く。
『富士恵さんといると楽しいし、強制しない、自由にすればいいと言ってくれるから、気楽だ』
あの人はいつもそうだ。
上手に男の心を操り、従わせる。
10代の、性に多感な男を手玉に取るなんて朝飯前だろう。
『ーーーあの人のいつもの手だ。騙されるな』
息抜きなら良い。



