知っている人だった。

 でも私が知っている人は、お仕えするお嬢様の為なら若干過激派になる人で、基本的には慇懃無礼で柔和な感じと言うか。


「…」

「…」


 目が合っちゃったけれど何と言えばいいの、誰か教えて神様。ああ此処に今神様(オオミカ)いないんだった。(絶望)

 ただ何も言わないのもキツい。

 これは私から切り出さなきゃいけないか。


「あの…カズ、」


 ミさんと言い掛けた瞬間、背後から走って来る音が聞こえた。


「っち…」


 舌打ちと共にグイッと引っ張られてお口の悪い野生的行為の相手ーーーカズミさんに引っ張れた。そのまま木製の可愛らしいベンチに押し倒される。


「カズミさん…!」

「黙れ」


 モノクル付けていない!じゃなくって!


 覆い被されて手で口を押さえられる。

 本当に何怖い!


「カズミさん!あの明日も…」


 走って来たのは多分だけれど…この声はさっきの喘ぎまくっていた人?

 ピロートーク?の声質的にそれっぽい気がする。多分だけれど。


「ああ…申し訳ありません。もう別の方の相手をしなければならないので」

「どうして…?」


 カズミさんにお覆い被されていて見えないが…修羅場。


「私だけって…可愛いって、あんなに愛しているって!」


 悲鳴の様な彼女の声に、