輝咲ちゃんが凛とした表情で自分の弟妹を見つめる。
前だったら周囲が自分の生き方に合わせろと強制する感じだったけれど、旦那さんと出会って、子供が産まれて変わったんだ。
「私にとってミケ…夫が、夫でいられる様に誰よりも尽力するつもりだけれど、妃帥。貴方は綴の為に何処まで出来るの?」
真意を問う輝咲ちゃんの瞳は神々しく、美しい。
呆けてしまうその美しさは、流石天條の血脈だと思いながらチラリと隣の妃帥ちゃんを見る。
「…」
問われた妃帥ちゃんは暫くの沈黙の後、
「…歳をとるとお節介になるのね」
「はあ?」
爆弾投下をした。
「妃帥貴方ねえ…!」
「ひ、妃帥ちゃん!輝咲ちゃん怖いからちょっと押さえて」
輝咲ちゃんが菩薩から阿修羅になり掛けて慌てて間に入るが、妃帥ちゃんはふふと笑うだけ。心臓が強過ぎる。
「心配しないでお姉様。確かにお姉様と私達の幸せにする解釈は違うかもしれないけれど、私は綴の事を大事にするつもりよ。ね、お兄様」
「ああ」
「…」
妃帥ちゃんの言葉に頷く獅帥君の姿に、姉である輝咲ちゃんの本当に?と柳眉を寄せて見つめる。
「あの皆んな此処は…」
「…」
「…」
「…」
また緊張状態に入ってしまった。この家族話の抑揚がジェットコースターみたいで疲れる。



