無言を貫いていた獅帥君は淡々と妃帥ちゃんの言葉に頷く。

 そう言えば獅帥君喋ってなかったけれど…。

 久々に会いに来たお姉さんに対して感情がないと言うか。


「普通に自慢の子供だから見せびらかしに来ているのよ」


 輝咲ちゃんの言葉にリヒト君を一瞥した獅帥君。

 その温度の無い瞳に小さなリヒト君はキュッとお母さんの服の裾を握る。

 その姿を見た獅帥君は、


「俺らを見もしなかったのに?」


 氷以上に冷たい言葉で輝咲ちゃんを突き刺す。

 しかも獅帥君は攻めている訳でもない。


「それは、」

「俺らに見せてどうするんだ。俺らに甥っ子を見せて何を求めているんだ?」


 純粋に疑問に思っている様な言い方で。


「獅帥」

「子供の前だから母親らしくしているんだろうが、俺らに興味なんてないんだろう。だから置いてたった。その方がアンタにとって都合が良かったから。別に俺らはそれで構わない、今もこれからも」


 肉親に対する言葉とは思えない様な言葉を輝咲ちゃんに言った。


「これがお姉様が自信を持って選んだ道の結果よ」


 酷薄に妃帥ちゃんは言う。


「何ならこの間私が死に掛けた時のヒビキお姉様の方がマシね。あの人は一貫して家族に興味が無いから、お父様の代わりに家で仕事をして顔も見ずに帰ったんですもの」


 ヒビキさんって言うんだもう1人のお姉さん。