微笑ましい。そんな事を思っていれば、


「で、綴は弟と媾っていたのかしら」

「ブホッ」

「媾う?」


 コテンと首を傾げる天使の様に可愛らしいリヒト君。

 って!


「り、リヒト君が居るんだから!」

「僕も綴ちゃんと出来るの?」

「後10年経ったらね」

「駄目リヒト君聞いちゃ駄目!」

「綴ちゃん僕としてくれないの…?」

「そう言う問題じゃなくって!」


 そんなうるうるした目で見ないで!とリヒト君の事は大好きだよー!と身振り手振りで教えている横で、


「リヒト駄目よ。綴は私のミケなんだから」


 妃帥ちゃんが言ったら、空気が凍った。


「ーーーミケ?貴方に?」


 輝咲ちゃんの柳眉が寄った。


「冗談でしょう?綴は私に友人でもあるし、夫にとっても大事な友人なの。綴を貴方達の遊び道具にされるのは困るのよ」

「冗談?それこそどうしたのお姉様?子供の前だから母親振っているのかしら?」

「振っている?」


 ただ並ぬ冷気を感じる…!

 あんなに和やかな空気が流れていた筈なのに、急に姉妹バトルが日中の昼間に繰り広げられ様とは。


「あの…2人とも…」

「だってそうでしょう。海外で男を追い掛けに行ったと思ったら、あっちで暮らすとか言い始めて、潰れかけた会社のCEOになったかと思えば、知らない内に子供が出来て、滅多に家に帰って来なかったお姉様が度々此処に帰って来るなんて…青天の霹靂ねって獅帥と話していたのよ」