「リヒト…虐めているんじゃないわ。貴方の大事な…まだ正式な後継人では無いけれど、その1人が不埒者なら教育する必要があると思ったの」
「後継人?全く意味が分からないわ、綴」
不埒者と言う単語にショックを受けていれば、妃帥ちゃんに呼ばれて、ああ可愛いと短時間で現実逃避する事が出来た。ありがとう妃帥ちゃん。
「綴。私が可愛いのは分かっているけれど、説明して頂戴」
「あ、ごめんね。えと、話すと長いんだけど…」
現実逃避をしながら、口だけは語る事に集中する。
輝咲ちゃんと知り合ったのは、輝咲ちゃんの旦那さんと私が元々知り合いだった事がキッカケと言うか。
「旦那さん凄く頭が良くて昔学園の生徒会もしていたの。生徒会OBとして時々顔見せに来てくれていて、話も合うから私とも仲良かったんだけど、希咲ちゃんに好かれてから逃げ場所に生徒会室を使う様になってーーー…」
旦那さんに激ボレしている輝咲ちゃんと、輝咲ちゃんを苦手とする旦那さん。
「ある日旦那さんが生徒会室に居る所を捕まってその時に居合わせちゃったんだよね。そしたら旦那さんポロッと“綴の方が好みだ”って言っちゃって…」
「まあ」
目をまん丸にして、妃帥ちゃんが驚く。
そりゃあそうだ。
輝咲ちゃんを前にして、愛を囁かれて頷かない人が何処にいるかって話。



