過つは彼の性、許すは我の心 参



「アンタ巧妙だよ。出来るだけ兄と先輩を居させて、先輩の身の回りで起きるトラブルを兄に対処させて、先輩に借りを作らせて罪悪感を抱かせる。特に土師利大の事は煩わしいとは思っても渡に船だと思ったんでしょう」


 歩みを止めずに語る。


「兄の性格からして大事にさえ思ってしまえば、きっと異常なほど過保護になる事は分かっていた。そして普通の人なら報いたい、恩返ししたいと思う様になる。賭けの部分もあったでしょうけど、貴方の想像するモノにはなっていった」


 私のベッドの前で止まった。


「兄の思いが強くなったタイミングで更に先輩をこの家に置いた。そうすれば兄の置かれる状況を理解する事も、過去を知れば傍に居る事も、周囲とも心理的にも離れて孤立する事も全て」


 ギシリとベッドが鳴る。

 白いシーツに血が滲んだ。


「分かっていた。今の状況貴方にとっては良いモノでしょう。でもね」


 頬が濡れる。

 男の手が私の頬を通過し、首を捉えた。


「ーーーそんなアンタ等の事情知ったこっちゃねえんだよ」


 グッとベットへと倒された。

 喉が緩く、絞められる。


「先輩はアンタ等のパワーゲームの道具じゃ無い」

「っ…道具?いやねえ私達は大事にしている、この上なくね」