静かな筈なのに、胸騒ぎがする。
時計を見ればもう夜の9時を過ぎていた。
喉が乾いた…。
カズミを呼ぼうとして、動きを止める。
ノックも無しに廊下側のドアがゆっくり開かれる。
そこに居たのは、
「こんばんわ、天條妃帥さん」
血塗れのカズミの首根っこを掴んで、堂々と入って来る男ーーー惣倉影刀だった。
ーーーパタンと静かに閉じるドアの前で、自身にも血を纏わせる惣倉影刀はゆっくりと私に近付く。
「…どうして貴方が此処に?」
「時間思いの外食ったんで率直に。俺に誓え、じゃなきゃコイツ諸共殺す」
ボトッと床にカズミが落ちた。
殺意と言うものを肌でビリビリと感じる。
「…誓う?何を」
「先輩の安全」
「安全って…今だって十分あの子は守られているから安全なら」
「違う」
ベットで身体を起こす私に、惣倉影刀が近付こうとして歩みが止まる。
「ひっす…い逃げ、っろ!」
力一杯私に叫ぶカズミは、惣倉影刀の足を掴んで私への接近を止めようとしてくれていたが、
「…があ!」
思い切り蹴り上げられて扉にぶつかる。
「分かっていているのに惚けるのやめてくれませんかね?誓わせる前に殺したくなる」
カズミは動かない。
もう1つのドアは此処から距離がある。
しかし冷静に考えてもこの男から私が逃げられるとは思えなかった。



