過つは彼の性、許すは我の心 参



 どうして。


『言ったでしょう。これから私は殴りに行ってくるの、』


 何で。


「あの子なのよ…」

「よせ清維っ」


 マサが刺激するなと言いたいのは分かっている。

 分かっているのよ!


「何であの子なのよ!!」

「はあ?」


 私に声を掛けられた惣倉影刀は訝しげに振り返る。

 恐怖より勝った。


「何の後ろ盾もない、努力もしていない、普通のあの子が、どうして!」

「…」


 獅帥と並ぶ程の男…惣倉影刀にどうしようもなくぶつけたくなった。


「あー…何で努力している自分より、何も努力していないあの子が選ばれるの?って奴ですか」


 簡単に何の努力も無く、獅帥の傍に。

 ミケに選ばれた、獅帥に誰よりも求められている。

 
「まさか自分がそんな事を聞かれるなんてハハっ」

「答えてよ!」


 肩で息をする私に、惣倉影刀はうーんと天井を見上げる。


「貴方から見れば唐堂先輩は努力していない様に見えるんですね」

「…」

「でも勘違いですよ。先輩無茶苦茶努力して天條先輩の傍に居る。逆に貴方は何をしていたんですか?」

「それは!」

「個人の能力を高めていた?違う違う。俺が言いたいのは、」


 惣倉影刀はつまらなそうに続けたその言葉は。


「貴方は天條先輩個人の傍に居る為に、彼を理解しようとしましたか?」


 私にとって青天の霹靂だった。