どうして。
『言ったでしょう。これから私は殴りに行ってくるの、』
何で。
「あの子なのよ…」
「よせ清維っ」
マサが刺激するなと言いたいのは分かっている。
分かっているのよ!
「何であの子なのよ!!」
「はあ?」
私に声を掛けられた惣倉影刀は訝しげに振り返る。
恐怖より勝った。
「何の後ろ盾もない、努力もしていない、普通のあの子が、どうして!」
「…」
獅帥と並ぶ程の男…惣倉影刀にどうしようもなくぶつけたくなった。
「あー…何で努力している自分より、何も努力していないあの子が選ばれるの?って奴ですか」
簡単に何の努力も無く、獅帥の傍に。
ミケに選ばれた、獅帥に誰よりも求められている。
「まさか自分がそんな事を聞かれるなんてハハっ」
「答えてよ!」
肩で息をする私に、惣倉影刀はうーんと天井を見上げる。
「貴方から見れば唐堂先輩は努力していない様に見えるんですね」
「…」
「でも勘違いですよ。先輩無茶苦茶努力して天條先輩の傍に居る。逆に貴方は何をしていたんですか?」
「それは!」
「個人の能力を高めていた?違う違う。俺が言いたいのは、」
惣倉影刀はつまらなそうに続けたその言葉は。
「貴方は天條先輩個人の傍に居る為に、彼を理解しようとしましたか?」
私にとって青天の霹靂だった。



