過つは彼の性、許すは我の心 参



「…気持ち悪い」


 ガラス瓶が床に落ちて行く。


「うっ…!」


ーーーガシャンとガラス瓶が砕ける。


「つづ!」


 急激な嘔気に襲われて胃の内容物をその場で吐き出していた。

 視界が揺れてそのままその場に倒れる。


「…あーそうだった忘れてた。お楽しみの為に危ない薬入れたんだった」


 帷有墨が楽しそうに言う。

 気持ち悪い目が回る。


「つづ!おい!」


 凌久君が振り払って私の傍に来てくれたが、


「し…の…」


 兎に角気分が悪く、吐き気が治まらないせいで大丈夫と言えない。

 動けない何、これ…。


「有墨お前」

「そうだこれも忘れてた。変な混ぜ物を混ぜたからな…下手したら死ぬかもなあ唐堂綴は」

「有墨!」


 喜影君と帷有墨の言い合いが聞こえる。

 意識が歪む。


「殺せ!」

「何やってるんだよ!」

「おい俺らにもやらせろ!」


 人の怒号が響く。

 意識が保てない。

 今寝たら死んじゃうのに、身体全体に力が入らない。

 巻き込んじゃって…ごめんね凌久君、ごめんね惣倉君。

 届かない謝罪の言葉は、私を守る様に抱える凌久君にもーーーー…。


「あああぁあああ!!?」

「グッ!」

「やめろおぉおおお」


 血飛沫と悲鳴が先程より舞う。

 その中央に1つの影。


「先輩の可愛い後輩でいたかったなあ」


 縦横無尽に人を殺す惣倉君の独り言を最後に、意識は闇へと呑まれた。