獅帥君達の様に多くを抱えて生きる彼を安心させたかった。
「ほらミケが積極的だぞ凌久」
「ギャハハハッ!」
「やれー!」
虫の羽音の様に五月蝿い奴等の声とは真逆に、心は乱れる事なく穏やかだ。
「っくそ…」
苦しそうに呻く凌久君の声が耳元で聞こえる。
そんなに苦しがらないで。
私を害して凌久君と四葉さんの身の安全が保障されるなら幾らでもやってくれと本気で思っている。
だから、
「大丈夫凌久君。大丈夫だから」
「…っ」
凌久君の背中を撫でると、身体は混乱で震えている様に感じた。
「こんなん…」
血を吐き出す様に、
「こんなん…嫌に決まってる」
絞り出す様にそう、凌久君が言った。
「おい!凌久早く、」
痺れを切らした下品な坊々の手が私達に近付いてーーーパンとその手を弾いた。
「こんなんするぐらいやったら死んだ方マシや」
顔を上げた瞳が糸目から覗く。その感情はーーー怒りだ。
少し動揺した坊々は、直ぐに表情を改めて「ああ?四葉がどうなってもいいんだよなあ?」と揺さぶる。
それでも、
「四葉も俺がこないな事するぐらいやったら一緒に死んでくれる」
覚悟を決めた凌久君は揺さぶりを物ともしなかった。
「…ハッ!お前自分がどう産まれたのか忘れたのか?」
「分かってる。あんたらが慕うてるあの糞爺の歪んだ願望で産まれたのは良うな」



