口笛を吹く音が、囃し立てている声が、ダブって聞こえる。
身体の調子が可笑しくって気付かなかったが、あちこちに土師か惣倉か分かんないけれど、人相の良くない人達が沢山居た事に今更気付く。
するとーーギシリと音を立ててソファーが沈む。煌々としたライトが遮られた。
「凌久君…」
綺麗に染められたパープルブラックの髪が私の頬に触れる。
ーーー昔渚君に紫の髪色が似合うなんて大阪のおばちゃん以外有り得ないって言われて、似合っている人居るよって言って凌久君の事を教えたら、あれは本物の紫違うって言われたんだよね…懐かしい。
「ふふっ…」
「… 何で笑うてるんや」
苦々しい顔をする凌久君まで笑えて来る。
心から笑っていると言うよりは、身体が無理矢理笑いに持って行こうとしている…的な。言ってて意味分からないけれど、例えがない感覚だし。
「俺に犯されそうになってるんやで」
「そっか…ふっはははっ…」
「そっかって…何考えてるんや!」
「ええ?」
周囲への警戒はあるけれど、凌久君に対しては何も感じない。
だって、
「凌久君覚えている?」
「は?」
私は笑って凌久君に手を伸ばしてーーー…。
「“ もしこれから何が起きても、凌久君がそれに関わっていると言われても、私は凌久君を恨まないし嫌わないよ”って」
息を呑む彼を抱き締めた。



