男の子と女の子が泣いている。
2人の周囲に沢山手が伸びて、引き離そうとしている。
助けなきゃ。
私の手には小さなナイフが握られていて、それをギュッと握り締める。
振り上げ様として、誰かに止められた。
お祖父ちゃん?
首を力無く振るお祖父ちゃん。
でも駄目だよ、助けないと。
2人は私のーーー…。
綴。
遠くから誰かの声が聞こえた。
綴。
身体が揺さぶられた。
綴。
腕に何か刺された感覚がする。
綴。
暫くして怒声に目が開く。
眩しい。
「つづ!」
「っ…凌久君?頭が若干ぬるつくのって…」
「頭から血ぃ出てる!しばかれたんだっ」
「ああそう…」
只管眩しく感じるのは何でだろう。後気持ちが無駄に高揚するのも何で?
歩いていないのに、ふわふわとする感覚がするのもよく分からない。
「凌久本当だったんだなあ、お前がオオミカのミケにご執心とは」
「身の程知らずだな」
「でもこの程度の女欲しいか?」
「ひどーいお兄様達ったらふふっ…」
少し離れた席に、リタを真ん中にして2人の恐らく大学生ぐらいの男が品なくニヤニヤ笑っていた。
「犯罪者どもが…」
唸る様な凌久君の声を聞きながら、頭を動かさずに周囲を見渡した。近くに落ちている物や建物の内にある椅子や机、舞台の汚れからするに廃屋…しかもクラブハウスみたいな所だと気付く。



