過つは彼の性、許すは我の心 参



 男の子と女の子が泣いている。

 2人の周囲に沢山手が伸びて、引き離そうとしている。

 助けなきゃ。

 私の手には小さなナイフが握られていて、それをギュッと握り締める。

 振り上げ様として、誰かに止められた。

 お祖父ちゃん?

 首を力無く振るお祖父ちゃん。

 でも駄目だよ、助けないと。

 2人は私のーーー…。

 
 綴。


 遠くから誰かの声が聞こえた。


 綴。


 身体が揺さぶられた。


 綴。


 腕に何か刺された感覚がする。


 綴。


 暫くして怒声に目が開く。

 眩しい。


「つづ!」

「っ…凌久君?頭が若干ぬるつくのって…」

「頭から血ぃ出てる!しばかれたんだっ」

「ああそう…」


 只管眩しく感じるのは何でだろう。後気持ちが無駄に高揚するのも何で?

 歩いていないのに、ふわふわとする感覚がするのもよく分からない。


「凌久本当だったんだなあ、お前がオオミカのミケにご執心とは」

「身の程知らずだな」

「でもこの程度の女欲しいか?」

「ひどーいお兄様達ったらふふっ…」

 
 少し離れた席に、リタを真ん中にして2人の恐らく大学生ぐらいの男が品なくニヤニヤ笑っていた。


「犯罪者どもが…」


 唸る様な凌久君の声を聞きながら、頭を動かさずに周囲を見渡した。近くに落ちている物や建物の内にある椅子や机、舞台の汚れからするに廃屋…しかもクラブハウスみたいな所だと気付く。