過つは彼の性、許すは我の心 参



「彼奴ほんまに忍者やな」


 呆れた様な凌久君とは反対に、何故だか胸が騒つく。

 凌久君以外の護衛が何処に居るかは分からない…いや待って。


「つづ?」


 立ち上がって周囲を見たが、やっぱりそうだ。


「凌久君近くに居てね…人こんなに居ないの可笑しくない?」


 音楽は流れているのにあれだけ居た人達も、店員すら違和感無く消えていた。

 凌久君もバッと周囲を見渡す。


「惣倉君無事かな」

「それより俺らの方が、」


 凌久君の言葉が止まって、彼の見て来た視線を追う。目を疑った。


「凌久〜こんな所に居たんだあ」

「リタ…」


 お供を連れて現れたリタは、胸や足が露出したカジュアルな格好で…まるで変わってしまった円嘉みたいで、思わず眉を顰める。

 そして、


「綴」

「…喜影君」


 リタに腕を絡められ不愉快そうにしているものの、私を見る目は逸らす事の無い喜影君。


「忠告は聞かなかったか…」


 久々に会った喜影君は思った以上に疲れている様な、窶れている様な雰囲気に少しだけ戸惑ったが…。


「ねえどうして私と彼が一緒に来たか分かる?」


 リタがコテンと首を傾げた。

 そうだ。

 土師が天満月と親交があるなら、惣倉と関係があっても可笑しくない。


「やあっと気付いた?ふふ…」


 そう言って笑ったリタは、やっぱり何時ぞやの円嘉を彷彿とさせた。