過つは彼の性、許すは我の心 参

 

 楽し気な惣倉君の言葉に嘘は無さそうで、本当に今の自分が好きなんだと分かる。

 凄いな…と思ってしまう。

 人生何周しているんだって言うぐらい…いや人死にに関わっているからこそ、確固たる自分があるのかもしれない。


「先輩はどんな自分が好きですか?」

「私は…」

 
 どんな自分が好きか。

 どんな自分になりたいのか。

 前は素直に答えられた気がする。

 でも今は…。


「ーーーおーい2人とも俺の番終わり」


 私と惣倉君の視線が上がる。

 見たらゲームは終わっていたらしく、いつの間にか凌久君が私達の前まで来ていた。


「本当だ」

「見てへんかったのか」

「あ」

「じゃあ次俺行きまーす」


 惣倉君は上着を置いてベンチから立ち上がると、1人でゲームのブースに入ってしまう。

 
「あちー」


 凌久君は私の隣にドカリと座って、両手をベンチに付く。


「何の話しとったん?」

「好きな自分と将来の夢」

「急な話やな」


 持っていた上着を渡すと「さんきゅ」と言って受け取りながら凌久は「俺は医者やろうさかいな」と呟いた。


「…それは土師に言われたから?」

「そう」


 土師保宇の管理の元、凌久君の人生は決められている、そう言っていた。


「…こないだな、偶々渚とその妹と一緒に話す機会があったんや」

「夏波ちゃんも一緒に?」

「ああ。ほんなら妹も医者になるって言うとってな」

「へえ夏波ちゃんが」