無理している、か…。
「…」
「先輩」
呼び掛けに視線を上げる。
合った視線はーーー。
「人って生まれ持った性質と目指したい自分が違う事ってよくあると思います」
何よりも穏やかで優しい。
「天條の周囲も十分腐っていますけど、中もかなり腐敗している」
「…」
「これも俺の想像ですけど、先輩はその腐敗を知って、触れて、知らない自分を知る事になったんじゃないかと思います。そして戸惑う間もなく、受け入れないといけない状況だった」
まるで私に起きた出来事を直接見聞きした様な話し振りに、目を瞬かせる。
「普通の世界で生きて来た先輩にとって、自分の中の異常を受け入れてでも、天條先輩達の傍に居ないといけないと思った、違いますか?」
それに首を震る。
「…同情ですか?」
「違う!」
惣倉君は否定に「そうですよね。先輩は違う」と言う。
「…優しい人、優しい人達だから報われて欲しい。幸せになって欲しい。そう思った。でも獅帥君達を取り巻く世界は優しくない。傷付けようとする。だからせめて傍に居て守れるならって…!」
「でももっと優しい先輩は限界が来てしまっている、でしょう」
「っ…優しくないよ私は!」
優しかったら大事な人達の異変に気付けた。



