過つは彼の性、許すは我の心 参



 時々視線が合えば、獅帥君の瞳には欲が乗り始めて、キスをしながら私の身体をゆっくりと床に横たえた。

 ネクタイを乱暴に外す獅帥君を見上げる。


「綴…」


 それでも理性が彼を辛うじで引き止める。

 神に願いを請う巡礼者の様に、両腕を彼に掲げた。


「いいよ、獅帥君」

「つづ、」

「大丈夫。何があっても、これから何を知っても」


 傍に居るから。


 そう言い終わらない内に、獅帥君は私に齧り付く。

 冷たい床の上で性急に事を進められているのに、身体は反して熱くなる。肌がくっ付くと気持ちが良くて、涙が溢れる。


「はあっ…」


 私の1つでも溢したくないと舌で涙を啜る獅帥君。

 その姿は妖艶で、身体中に鳥肌が立った。

 太腿を撫でられて、吐息が漏れる。

 深く、


「ーーーあ!」


 潜り込まれてもう息も出来ない。

 短く断続的に出る嬌声、汗と涙、身体を貫く衝撃。

 その全てで、掻き乱して欲しい。

 恐ろしい事実も迷いも、辛い記憶も、今は全部忘れさせて欲しい。

 そして深く息も吐かせないぐらいーーー…。


「綴…っ」

「し、すい君っ」


 強く私を壊して欲しい。

 そうすれば何も見ずに済むから。