ギュッと獅帥君の身体を抱き締めると背を撫でられながら抱き締め返された。

 獅帥君は3人に対して、


「やる事はやっている。昼寝して来る」


 私に向けた声とは真逆に、聞き様によっては冷たく聞こえる声でそう言って、自室へと向かった。もう3人の顔を見られなかった。


「痛みは?」

「…ううん大丈夫」


 そして急に真面目になる獅帥君は、自分のベッドに私を座らせて私の足首を見る。

 あんなに寝っ転がってみたいと思ったベッドに今私は座っている訳なんだけれど、気持ちがソワソワする。


「動き辛いか」

「少し…でもテーピングしているからだし」

「そうか」


 なのに獅帥君は真面目に私の心配しているから、馬鹿みたいに自分が思えてしまう。

 獅帥君からしたら私との事なんて、数ある1つの出来事なんだろう。

 粗雑に扱われた事しかない女に、獅帥君なりに優しさを与えてくれた、それだけ。

 勘違いするな、私。


「あれ?」


 視界が逆転し、薄暗いカーテンの中に気付けばいた。


「し、獅帥君?」

「…」


 私の靴は知らぬ間に脱がされていて、獅帥君もベットへ乗り上げていた。

 いや待って、今日の服と言い、状況と言い、何故だかこの間の事を彷彿とさせて背筋が震えた。


「どうした、の」


 近付いて来た男は、そう言った私の唇を指先でなぞって笑う。