ーーードンっと誰かにぶつかる。
「って、唐堂無事か!?」
「…鉄将君」
大慌てで当たった相手の鉄将君が、尻餅を突いた私を助け起こそうと手を伸ばしていた。
スーツ姿を見るに獅帥君の護衛として帰って来た所だろう。
護衛…。
「…知っていたの?」
言葉が感情のまま出て来る。
「え、どうし」
「獅帥君達がどんな目に遭っていたのか知っていたの?」
「…何の、」
鉄将君が前に言っていた。
妃帥ちゃんに左目の上を傷付けられ、今も薄らと残っている。
「知っていたんでしょう。妃帥ちゃん達を…同情でもしたの?」
私の言っていた言葉の意味が理解出来たみたいで、顔が強張った。
「唐堂何を知って、いや誰に」
過去の事だ。
鉄将君にはどうしようもない事だったの分かっている。
でも、
「今だって何にも状況変わってないじゃん。他のシンカン達は何処まで知っているの?何であんな事何時迄も獅帥君にやらせているの?何の為のシンカンなの?…今もどうしてこんな事をさせ続けているのよ!」
差し出された手を弾くと、乾いた音が虚しく廊下に響いた。
「他のシンカンは…待て落ち着けって!」
「落ち着ける訳ないじゃん!このままじゃ同じ様になるよ!八重さんと匡獅さんみたいに!」
其処まで知っていたのかと目を見開く鉄将君。



