過つは彼の性、許すは我の心 参




ーーードンっと誰かにぶつかる。


「って、唐堂無事か!?」

「…鉄将君」


 大慌てで当たった相手の鉄将君が、尻餅を突いた私を助け起こそうと手を伸ばしていた。

 スーツ姿を見るに獅帥君の護衛として帰って来た所だろう。

 護衛…。


「…知っていたの?」


 言葉が感情のまま出て来る。


「え、どうし」

「獅帥君達がどんな目に遭っていたのか知っていたの?」

「…何の、」


 鉄将君が前に言っていた。

 妃帥ちゃんに左目の上を傷付けられ、今も薄らと残っている。


「知っていたんでしょう。妃帥ちゃん達を…同情でもしたの?」


 私の言っていた言葉の意味が理解出来たみたいで、顔が強張った。

 
「唐堂何を知って、いや誰に」


 過去の事だ。

 鉄将君にはどうしようもない事だったの分かっている。

 でも、


「今だって何にも状況変わってないじゃん。他のシンカン達は何処まで知っているの?何であんな事何時迄も獅帥君にやらせているの?何の為のシンカンなの?…今もどうしてこんな事をさせ続けているのよ!」


 差し出された手を弾くと、乾いた音が虚しく廊下に響いた。

 
「他のシンカンは…待て落ち着けって!」

「落ち着ける訳ないじゃん!このままじゃ同じ様になるよ!八重さんと匡獅さんみたいに!」


 其処まで知っていたのかと目を見開く鉄将君。