「現代では難しいから自分の娘をあてがっているけどな」
鬼が嗤っている。
見たくない。聞きたくない。
「ただ、」
続く言葉に、嫌な想像が這い寄った。
想像は、
「どんなに年食っても此処に巣食う奴らの権力志向は酷いもんだ。幼い兄妹に手を出す事も厭わない」
ーーー現実になる。
言葉を理解出来ない。
したくない。
「八重さんが2人の傍を離れる様になってから、女共は妃帥を痛ぶる様になった。酷い時は行き過ぎれば死ぬ様な事もな。獅帥に逃げ場所は無かった」
「…大人は、」
「…」
「匡獅さん、は、お母さんは、」
私の言葉に力無く、首を振った。
「匡獅さんは初めから八重さんにしか興味なかったからな…基本的には自分についた火の粉は自分で払えだし、自分の子供に甘いなんて幻想ねえよあの人は。母親は…もうその頃から可笑しくなっていたからなそれどころじゃなかった」
今まで見聞きした天條家の全ての事の中で1番吐き気がした。
そして、
「天女目春日は土師保宇の妹なんだ」
衝撃的な事実まで飛び出して来た。
「あのクソ野郎は見ての通り、自分の血筋を天條に組み込みたくて必死なんだよ」
「…だからと言って」
子供を犠牲にするなんて。
「土師はこの国じゃあ医療のメッカ、妃帥は身体が弱い。単純に獅帥が断れない状況を作ったんだよあのクソ野郎は」



