過つは彼の性、許すは我の心 参



「私2人の傍に居る自信がない。また誰かが妃帥ちゃんや獅帥君に危害を加えようとしたらーーー」


 ギュッと自分を抱き締める。

 獅帥君はそれでも良いと言ってくれたけど…。


「自分が自分じゃなくなる感じが怖かった」

「…」

「それに人を殺す事を平然と受け入れている匡獅さんも、獅帥君も妃帥ちゃんも…もう何が何だか分からないよ…」

「綴」

「普通じゃないよこんなの、もう私には…」


 耐えられない。

 そう言い掛けた瞬間、


「綴!」


 一際大きな声に弾ける様に顔を上げると、一葉師匠が硬い表情で私を見下ろしていた。て言うか初めて名前を呼ばれたな。


「…獅帥達が可笑しくなったのは、アイツら自身のせいじゃ無い。周りの奴らのせいだ」

「周り?」


 聞き返しには答えずに一葉師匠は同じ目線になったと思ったら、


「一葉師匠!?」


 そのまま地面に頭を擦り付ける様に土下座し始めてしまった。


「何で土下座なんてして!」


 顔を上げて!と両肩を揺すろうとした所で、


「全部俺が悪い」

「え」


 その言葉に動きを止めた。


「狂っていたのに薄々気付いていた…気付かない振りをし続けたら、取り返しの付かない事になっていた」

「何の話、」

「綴」


 顔を上げた一葉師匠の表情は、何よりも思い詰めていて、悔恨に満ちている。