「この間先輩から借りた漫画の話です。海祇先輩に聞かれたんですけど、先輩の方がよく知っていると思って」
「そうだったごめんごめん」
私がその漫画の魅力について話し始めれば「へえへえ面白そうやな」「でしょう。多分好きになりますよ」と、このオートモードみたいな感覚を2人も気にした感じでもない。
他のクラスメイトともこんな感じで、案外どうとでもなる。
あ、でもお祖父ちゃんだけは気付いている様な、諦めている様な顔をして私を見ていた。
大丈夫だよ、お祖父ちゃん。
一応は家族に顔向けできない様な事はしてない…と思う。
あ、
「って話で…2人とも止まってね」
「どうし、」
渚君の言葉が途切れた。
瞬間ーーーガシャンッ!!と地面にプランターみたいのが落ちて来た。
プランター…そうだあの話を聞いて以降、一葉師匠の所に行けていない。
今度行かなければと、上方に視線をやれば見知った顔が…ああ、アレは。
久々に見たなあと言う呑気な私の横で、
「あの女性懲りものう…!」
渚君も見えた様で…るり先輩とその集団が慌てた様に去って行くのが見えた。そう言えば渚君に痛い目に遭っていたなあの人。
「待たんかい!」
駆け出そうとした渚君と黙って走り出そうとしていた惣倉君に、
「いいよ2人とも」
ピタリと止まった2人の横を素通りしながら歩き始める。



