サイコパスと診断された多くの殺人鬼は、殺しが目的ではなく、手段に凝る人が多いと聞く。
いつか私もああなるのかも。
獅帥君は、
「え…」
ーーー微笑んだ。
余りにも場違いな美しい微笑みに涙が止まり、獅帥君の指先が私の涙を掬う。
「俺は嬉しい。誰も…あの人以外は俺達を守ってくれなかったから」
「へ…?」
聞き返した私に、獅帥君は微笑むだけで何も言わなかったが、私の頭を抱き上げて膝に乗せる。
「俺は、俺達は綴が何者でも、傍に居てくれればそれ以上は何も要らない」
静かに醜い私を肯定し、額に口付けた。
儚く微笑む獅帥君の頬に触れる。
何故、
「どうして、そこまでして私を」
直向きに思うのか。
混乱する私に、
「お前がそう望んだから」
獅帥君も私の頬に触れる。
「私が、望んだ」
「いや俺達がそう望んだから、だろうな」
俺達が獅帥君と妃帥ちゃんを指しているのか、それともーーー…。
気になる事は沢山あった。
“誰も守ってくれなかった”
このタイミングで言われたこの言葉。
その言葉の本当の意味を知るのは、私がこの状況に慣れ過ぎてしまって、精神に異常を来し始めた頃ーーー春の芽吹く頃だった。
普通にはもう戻れない。
無意識にそれを感じ取り、自覚した時には大事なモノを私は失っていたーーー…。



