過つは彼の性、許すは我の心 参

 

 サイコパスと診断された多くの殺人鬼は、殺しが目的ではなく、手段に凝る人が多いと聞く。

 いつか私もああなるのかも。

 獅帥君は、


「え…」


ーーー微笑んだ。

 余りにも場違いな美しい微笑みに涙が止まり、獅帥君の指先が私の涙を掬う。


「俺は嬉しい。誰も…あの人以外は俺達を守ってくれなかったから」

「へ…?」


 聞き返した私に、獅帥君は微笑むだけで何も言わなかったが、私の頭を抱き上げて膝に乗せる。


「俺は、俺達は綴が何者でも、傍に居てくれればそれ以上は何も要らない」


 静かに醜い私を肯定し、額に口付けた。

 儚く微笑む獅帥君の頬に触れる。

 何故、


「どうして、そこまでして私を」


 直向きに思うのか。

 混乱する私に、


「お前がそう望んだから」


 獅帥君も私の頬に触れる。


「私が、望んだ」

「いや俺達がそう望んだから、だろうな」

 
 俺達が獅帥君と妃帥ちゃんを指しているのか、それともーーー…。

 気になる事は沢山あった。
 

“誰も守ってくれなかった”


 このタイミングで言われたこの言葉。

 その言葉の本当の意味を知るのは、私がこの状況に慣れ過ぎてしまって、精神に異常を来し始めた頃ーーー春の芽吹く頃だった。

 普通にはもう戻れない。

 無意識にそれを感じ取り、自覚した時には大事なモノを私は失っていたーーー…。