過つは彼の性、許すは我の心 参



 もっと別の所を殴ったらどんな悲鳴を上げる?

 椅子以外の物で、例えば割れた花瓶で殴ったら血が舞う?

 太い血管のある所を切ったらーーー円嘉の時みたいになる?

 私あの時もしかしてワラッテイタ?


「私本当に最低だ…!」


 ギュッと自分の身体を自分で抱き締める。


「こんな自分を見たく無いが為に!助けを求めていた円嘉を、ナオ達を見捨てた!」


 きっとリタやユウナの友達が言っていた事は、私の逃げたかった本音。

 これ以上関わったらきっとまた悪い自分を直視する事になるから、普通に戻れなくなるからって、中途半端に2人に関わって見捨てた。


「消えて無くなりたい…」


 このまま誰にも言わずに。


「ーーー綴は違うだろう」


 その言葉に、ハッと顔を上げる。

 獅帥君がまたサラリと私の顔を覆う髪を払う。

 何の不純物もない無垢な瞳が私を見下ろしている

 綺麗…。

 私は醜いのに、何でこの人は綺麗なままなんだ。

 天満月シズカは言っていた。


『彼が何をしていたのかーーー…彼ね、自身の言葉で人が死ぬ事を理解しているんですよ。そう、自分の意思で人を殺したんです』


 なのに、何で獅帥君は。


「綴は守る為に殺そうとした」

「でも楽しんで、」

「これは楽しい事なんだって無理矢理思い込む事で、自分がすべき事をしようとしたんだ」

「屁理屈だよそんなの」