それ程時間を置かずに耳の横の髪を掬われた感覚がして、頭が覚醒し始める。
「…綴?」
「…」
私の好きな甘い匂いが鼻腔に届く。
「だいじょ、」
「…獅帥君」
動きがピタリと止まった。
今聞くべきだと思った。
「前にあったユウナとナオの事覚えている?」
「…ああ」
「ーーー殺したの?」
「…」
何も言わなかった。答えだ。
馬鹿馬鹿しいと思う。
暗示を掛けて人を殺す事は出来ないと聞いた事がある。
それでも自分にしか出来ない人を殺せる方法を持ってて、それを使う事が自由に出来るって、前に何かのドラマで超能力で人を殺したらそれは犯罪になるのかと言う話があったけれど(そのドラマはトリックがあって超能力ではなかった)じゃあもし超能力で本当に人を殺していたら、それは誰が裁くんだろうと思った。
超能力を科学的に証明する?
それともその人の自供を鵜呑みにして逮捕でもする?
神を、獅帥君達を、誰が裁く?
答えなんてないのかもしれない。
それに、私も。
「…獅帥君」
「…ああ」
「私天ヶ衣さん。殺しそうになった」
「それは」
何でそんな事になっているんだと言いたいんだろうけれど。
「妃帥ちゃん殺すって言われて…きっと止められなかったら殺してた。私人の事言えない」
「…」



