過つは彼の性、許すは我の心 参



 ファンファンと音の鳴る中で、


『ねえ聞いた?あの先生今ーーー意識不明の重体らしいわよ』


 その言葉だけが妙に耳に残りながら、意識が現実に戻っていく。


「綴さんには話してなかったね」


 そして頭を撫でられていた。

 匡獅さんの声だ。

 それでも感覚は起きている様で起きていない、現と夢の狭間で意識が揺蕩っていて、返事が出来ない。


「君のお祖父さんや八重が生まれた天満月と天條は本来密接した関係なんだ」


 穏やかな声色に意識が夢に傾く。


「秘密って程でも無いけれど…天満月と天條の先祖となった人は男女の双子で…よく言うだろう男女の双子は不吉って。妹の方は捨てられて、兄の方は天條の家で育てられたんだ」


 寝物語の様に語る声をうつらうつらしながら聞く。


「妹が生きている事が分かって、後から一族に加わったんだ。その時には一族の位置付けは整っていたからね…オオミカの血縁と名乗るぽっと出の出現に反発する者も居たらしくって、現代までその価値観が引き摺られた結果、天満月は今の立ち位置になってしまった」


 へえ…と言いたいが、その前に涎が出そうで黙って聞いていた。


「八重は気にしていたけれど…私としてはどうでも良かった。そもそも私達は1つの存在だったのが偶々2つに分かれただけに過ぎない。だから本来八重も崇められてもいいんだ」


 さっきも言っていたなあそれ。