過つは彼の性、許すは我の心 参



 こっちまで頭が可笑しくなる。

 その時、


「そうだ!」


 天ヶ衣豊起はポンッと手を叩いてまた背を向ける。

 そして、


「惣倉がゴタゴタしているから、それに乗じて妃帥を殺っちまおう!」


 また荒唐無稽な事を言った。


「はあ?」

「そうだよ俺何で気付かなかったんだ。火種なんて一杯あるじゃん!やろうと思えば幾らでも手がある!」


 背後に人が居るのも分かっているのに、平気で殺人計画を立てている天ヶ衣豊起。

 と言うか人とも私の事を思ってもいないのか。

 ああ…ガンガンする…。


「そうだそうだ!丁度面白い話を聞いたんだこれなら…!」


 それとも何も出来ないと思っているのか。

 グワングワン回る。

 丸机に手を突きながら立ち上がり、花瓶を逆さにして手に取った。


「ありがとう唐堂綴!お前に初めて感謝したよ!」

「ねえ」


 私の言葉に振り向いた男の側頭部にガシャー!と花瓶がぶつかった。


「は、あっ?」


 天ヶ衣豊起は起きた事実に言葉も出ない。

 割れた花瓶を投げ捨てて、倒れた椅子の足を持って振り上げた。


「や、め!」


 振り下ろすると目の前のモノが悲鳴を上げた。

 スーッと痛みが引いてくる。


「痛え…!何するんだよ!」 


 また痛くなって来た。

 もう一回振り上げた。悲鳴が上がった。

 痛みが治まった。


「クソ女…!」