過つは彼の性、許すは我の心 参

 

 人が死ぬなんて思っていないんじゃ…。


「分かっててやっているに決まっているだろう。獅帥は徹底してオオミカの養育を受けているんだ。知らない訳ない」


 天ヶ衣豊起は否定しながら、事実を突き付ける。

 嘘でしょう。

 じゃあユウナの時も、ナオの時も。


「それは、」

「ああもしかして犯罪って?罪になるかよ。天條の実態を知らない一般人からすれば、良くて殺人教唆か?どうやって証明するんだよ、大した付き合いもない相手に死ねって言っただけで死にましたって。馬鹿だろう」


 駄目だ頭が痛くなって来る。

 グワングワンする。

 吐き気がする。

 こめかみを押さえながら天ヶ衣豊起を睨め付ける。

 愚か者を嗤う様に天ヶ衣豊起は言った。


「あーあ俺にそんな力あったらお前と妃帥に死ねって言ってやるのに。特に妃帥が居るから獅帥は俺の言う事を聞かないんだ、あの不良品…忌々しい」


ーーー恐らくこれがこの男の本音なのだ。

 誰からも認められる存在が、自分だけの言う事を聞く事で、自分は天條より上なのだと思いたい…プライドが驚く程高い浅はかな男。

 怒るよりも正気を疑う。

 自分のプライドの為だけに人の死を願うこの男も、1人の言葉で右往左往してしまうその周囲も。

 こんな頭の可笑しい人達に囲まれて可笑しくなるなって言うのが無理だろう。