過つは彼の性、許すは我の心 参



「こっち来なよお〜」

「遠慮します」


 丸机の上にそっと置かれた白い花瓶に生けられた花を見つめる。

 リタと言い、この人と言い、何でこんな喋り方をするんだろう。

 どうせーーー。

 
「ねえ…獅帥をどうやって唆したの?」


 こうやって直ぐに牙を剥く。


「…唆してなんていないよ」

「嘘だあ。だってえ、惣倉喜影を騙せたぐらいだから世間知らずのお坊ちゃん簡単だったんじゃない?」

「獅帥君は世間知らずじゃないでしょう」

「世間知らずは語弊かあ…」


 この人前も思ったんだけれど…獅帥君を下に見ていると言うより、固執している気がする。

ーーーガタンと揺れる。

 見上げれば丸テーブルの上に思いっきり手を置いた天ヶ衣豊起が私の傍まで来ていた。

 苛立ちの混じったありったけの睥睨が、私に突き刺さる。


「…獅帥は全部どうでもいいって思っていた筈なのにどうやったんだよ」


 もう取り繕う気は無いらしい。

 まあこっちも取り繕う気は無いけれど。

 
「…それが分からないから貴方の傍に居ないんじゃない?」

「っ…テメ」


ーーーガタン!


「…っ図星?」


 天ヶ衣豊起は私の襟首を掴まれ、爪先立ちになるが視線は逸らさなかった。

 睨み合う最中天ヶ衣豊起は、私への怒りをぶつけた。


「厚かましいよ唐堂綴。幼馴染が死んだぐらいじゃあへこたれないか」