凌久君にはどっちにしろ聞けない…。
やっぱり、
「はあ…」
扉の前で溜息を吐く。
天條邸の、獅帥君の私室の前で胸を握り合わせた。
心臓がドクドクと嫌な方に高鳴る。
獅帥君にも中々聞くに聞けない内容だけれど、立場上凌久君よりは危険が無いと思ったから聞きに来てしまった。
恐らく今日帰って来るはずだから、私室で待ってても良いよね?
大事な話になる。
前みたいに玄関で待っていると、人の目が多くて気になるし。
まだ来てもいないのに緊張して仕方が無い。
すると、
「綴ちゃんじゃあん〜」
良い印象の無い相手の声が耳に届き、視線を向ける。
ヒラヒラと手を振って現れたのは、
「天ヶ衣さん…」
「ええー豊起でもいいよお」
天ヶ衣豊起だった。
「いやあ綴ちゃん凄いねえ、ミケになったんだね。オメデトウー」
「…」
勢いでそのまま私室ではなく、談話室の方に天ヶ衣豊起と入る羽目になった。
彼はロングソファーにドカリと座る。
「あの後さあ親から大目玉食らってえ、暫く海外にも行けなかったから超つまんなかったあ」
暗にお前のせいだと言っているんだろうけれど。
「そうなんですか」
「うわあ超他人事」
「実際そうですから」
いつの間にか増えた窓際の近くに置かれている光沢のある小さな丸テーブルと2つのシックな椅子の1つに座りながら答えた。



