過つは彼の性、許すは我の心 参



 何故神は荒ぶるのか。

 そもそも神を崇めるなら人に優しい、無償で施しを与えてくれると言った善良な面だけで良い様に思えるが、じゃあ伝説や伝承と言った神話の中で神は、人を世界ごと壊したり、鏖殺したりーーー…何故暴力的で恐ろしい側面を持たせる必要があった?


「だって、そっちの方が人にとって都合が良いでしょう?」

「はあ」


 薄気味悪く笑った男の子…多分惣倉君と同い年ぐらいの中等部生はそう話した。


「他者を支配する為に何よりも大事な神をそんな風に扱うのって、結局は人って暴力や支配と言った悪い事が好きなんですよ。だから人は、後世に語り継がれる物語に、神様は恐ろしい存在だと書き加えたんじゃないかと思うんです」

「極端じゃないかなその考え」


 後ろ髪が少しだけ結んだ黒髪の彼は、首を傾げた。


「そうですか?貴方をミケに選んだオオミカ達は僕にはそう見える」

「…何で?」

「分かっている癖に」


 その彼は不可思議と不快を持ち合わせて、私に問い掛けてくる。


「何を、」

「あ、じゃあまた」


 名前も知らない彼は誰かが来ると、煙の様に消える。

 食堂でぽっかりと穴の空いた空間に1人にされると、正直今の私は寂しく感じた。

 それでも、


「つづちゃん…大変やったな」

「渚君…」


 声を掛けてくれる相手が居る事に感謝した。