今更ながら父がどんな気持ちで生きて来たのか。
俺の目の前で艶めかしく揺れる彼女無しに。
あの人無しに。
死んだも同然だろう。
父の今の人生は惰性だ。
天條と言う大きな組織を先導する、1つの大きな歯車として生き続けている。
それだってあの人と父が此処で生きて来たからに過ぎない。
それだけだ。
きっと彼女を失えば俺もそうなる。
彼女が俺に全てを与えてくれる。
あの人が父に全てを与えていた。
嫌だ、怖い、行かないでくれ。
母にすら思わなかったのに俺は。
彼女が明確に俺から離れると思ったら、居ても立っても居られなかったから安直なセックスと言う形で追いすがった。
なのに彼女は。
俺の暴挙に彼女は戸惑っていた筈なのに、今では俺の心情を正しく汲み取り、安心させようしてくれている。
「あっ…あっ…ああっ…」
彼女の身体が俺の上で踊る。
流れ出る汗や混濁した体液、人には見せない部分を露出して獣の様に媾うこの行為を、こんな風に例えるのも可笑しな話だが、荒ぶる神の御霊を鎮める為に、巫女が舞うかの様な神秘さを宿し、目が離せなくなっていた。
快感と暴力的な感情が渦を巻いて上昇していく。
「あっ…あっ…すい、君、はあっ…あ…」
彼女の中に昇華させようと膨れ上がる。
我慢が出来ない。
「ああっ…!」
彼女の腰を掴んで押し付ける様に動かし始めると一際高い鳴き声を上げた。



