過つは彼の性、許すは我の心 参



 そう考えたら、こんな曖昧な関係の女が傍に居る事は獅帥君には良くないのかも。


「今更かもしれないけれど、離れた方が…」


 だからふとそんな言葉が漏れ出た。

 瞬間、ガッと両肩を捕まれる。


「いっ」

「お前も」


 痛すぎる程の力で掴んだ相手…獅帥君を見てーーー硬直した。

 無表情で恐ろしい、向けられた事の無い冷たい視線に全身が凍り付く。


“間違えた”


 それに気づいたが、後の祭りだ。

 獅帥君は顔を上げて辺りを見回すと、騒めく声が静まり返る。

 そして、


「綴を俺のミケにする」

 
 宣言した。

 一瞬にして響めくが、黙ってられなかった。


「獅帥君!」

「構わないだろう」


 匡獅さんは「お前達が決めたならいい」と鷹揚に頷く。


「それに綴さんなら大丈夫だろう」


 笑う匡獅さんの、その無責任な発言にいい訳あるか!と突っ込みたくなったが、グイっと強く引っ張っられて文句も言えなかった。


「春日様!」

「お気を確かに!」


 横目では天女目軍団が倒れ掛けた天女目春日を介抱していて、おじさん達は何処かに電話を掛けていた。

 大混乱だ…。

 獅帥君に引っ張られながら、父親の腕の中に隠れる妃帥ちゃんと目が合った。

 涙なんて露1つ見当たらず、その顔は艶美で、口角には喜びを滲ませた。

 バイバイ。