そう考えたら、こんな曖昧な関係の女が傍に居る事は獅帥君には良くないのかも。
「今更かもしれないけれど、離れた方が…」
だからふとそんな言葉が漏れ出た。
瞬間、ガッと両肩を捕まれる。
「いっ」
「お前も」
痛すぎる程の力で掴んだ相手…獅帥君を見てーーー硬直した。
無表情で恐ろしい、向けられた事の無い冷たい視線に全身が凍り付く。
“間違えた”
それに気づいたが、後の祭りだ。
獅帥君は顔を上げて辺りを見回すと、騒めく声が静まり返る。
そして、
「綴を俺のミケにする」
宣言した。
一瞬にして響めくが、黙ってられなかった。
「獅帥君!」
「構わないだろう」
匡獅さんは「お前達が決めたならいい」と鷹揚に頷く。
「それに綴さんなら大丈夫だろう」
笑う匡獅さんの、その無責任な発言にいい訳あるか!と突っ込みたくなったが、グイっと強く引っ張っられて文句も言えなかった。
「春日様!」
「お気を確かに!」
横目では天女目軍団が倒れ掛けた天女目春日を介抱していて、おじさん達は何処かに電話を掛けていた。
大混乱だ…。
獅帥君に引っ張られながら、父親の腕の中に隠れる妃帥ちゃんと目が合った。
涙なんて露1つ見当たらず、その顔は艶美で、口角には喜びを滲ませた。
バイバイ。



